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不動産アラカルト
 
広告を見る前の留意事項
1. なぜ不動産を買うのか。
購入の目的により不動産を選ぶ条件が異なります。
2. 地域はどこか。
3. 資金はいくら用意できるのか。
将来の生活設計の中で資金計画を立てて下さい。
4. 販売情報を多く集める。
5. 信頼できる不動産会社を選ぶ
@ おとり広告をする業者は絶対に避ける。
 おとり広告にもいろいろな手口があり、消費者が見分けることは難しいと思われますが、これに引っかからない方法がひとつあります。それは「不動産には格安物件などうまい話は絶対にない」ことを銘記することです。
 おとり広告に共通しているのは、他社の広告物件と比べ面積や立地条件がほぼ同じなのに価格が安く、誰もが「掘出し物」だと感じる広告です。しかし、行って見ると崖下の物件であったり建物が建たない土地であったり、或いははじめから売る気がないので価格だけは相場の半値で広告したりしているのです。
 万一こんな広告に釣られて店舗へ出向いたときは、広告物件以外の物件を勧めることが多いでしょうから、すぐに帰って来ることです。せっかく来たのだからと見るだけでも見ていこうなどと考えてはいけません。   
A 契約を急がせる業者も危険
 契約を急がせたり、何でも安請合いする業者も要注意です。良心的な業者は、消費者が住宅を購入するために必要な判断材料を提供して、購入者に検討する時間的余裕を与えてくれるはずです。「今すぐ手付金を払わないと売れ切れてしまいますよ」などと言われたらそのまま帰って来ることです。 
 
II 広告をするときのきまり
1. 法律によるきまり 
 不動産広告は「宅地建物取引業法」と「不当景品類及び不当表示防止法」によって、誇大広告などの不当表示が禁止されています。
 このほか、宅地建物取引業法では青田売り物件の広告開始時期を制限したり、取引態様の明示義務を課しています。
 誇大広告などをした場合には、宅地建物取引業法によって業務の停止命令や免許の取消または6カ月以下の懲役などの罰則があります。
 また、不当景品頬及び不当表示防止法によって「排除命令」が行われます。この命令に従わないときは2年以下の懲役または300万円以下の罰金などの罰則があります。  
2. 公正競争規約のきまり
 公正競争規約は、一般消費者の不動産の適正な選択と不動産業界の公正な競争を確保するために様々な広告のル−ルを定めています。
その主なしくみは次のとおりです。 
広告等の開始時期の制限
 未完成の宅地や建物は、開発許可や建築確認を受けるまでは広告その他の表示をしてはならないことになっています。ときどき「イ−ジ−オ−ダ−方式」などといって、建築確認のない建売住宅の広告が見受けられますが、これは公正競争規約に違反するものです。
必要な表示事項
 正しい広告とは、ただ嘘をつかないだけではなく、消費者が不動産を選ぶ場合に必要だと考えられる最小限の事柄を表示することだという立場から、不動産広告には物件の種類と媒体別に必ず表示すべき事項が定められています。 
表示の基準
 通常、不動産広告に表示される一般的な事項についてまちまちな表示とならないように表示基準を定めています。たとえば徒歩時間は80mにつき1分として表示されます。 
特定事項の明示義務
特定事項の明示義務 
   都市計画法、建築基準法その他の法令による利用制限や傾斜地など消費者が通常予期することができない物件の欠陥で、消費者にとって著しく不利益となる事項については広告に表示する義務を課しています。 
特定用語の使用基準
   抽象的な用語や他の物件又は他の不動産会社と比較するような次に挙げる用語については、表示内容を裏付ける合理的な根拠がある場合を除き、その使用が禁止されています。 
   @完全、完ぺき、絶対などの用語
   A日本一、抜群、当社だけなどの用語
   B特選、厳選などの用語
   C最高、最高級など最上級を意味する用語
   D格安、掘出、土地値などの用語
   E完売など著しく人気が高く、売行きがよいことを意味する用語 
 
III 広告の読み方
では、公正競争規約の表示基準をもとに、広告を正しく読みとるポイントを説明しましょう。
広告主
広告の責任などを明確にするため、広告主の名称が表示されます。建売住宅や分譲マンションなどの販売広告では、2以上の会社が共同の広告主になることがありますが、普通同じ程度の大きさの文字で会社名が表示されます。
 また、売主から販売をまかされた不動産会社だけが広告主となる場合は、売主の商号と免許証番号が物件概要欄に表示されます。
 広告主の取引態様が代理や媒介(仲介)の場合は物件概要欄をよく見て売主が免許を受けた業者かどうかを確認しましょう。 
取引態様
 広告主が売主(貸主)なのか、代理なのかまたは媒介(仲介)なのかが表示されます。
 売主または代理の場合は、広告主が購入者と直接契約ができますが、媒介の場合は、いわば結婚の仲人のようなもので買主と売主を引き合わせて契約の成立を手伝うだけですから、直接買主と契約できません。 
免許証番号
 「国土交通大臣免許(1)第000号」「00県知事免許(2)第0000号」などと表示されます。信託銀行は「国土交通大臣届出第00号」と表示されます。
尚、省庁再編成に伴い、平成17年までは「建設大臣免許」との表示もあります。 
売主と事業主
 たとえば、A社が開発した分譲地やマンションの全部または一部をB社が買い取って売主として販売する場合、「事業主A社 売主B社」と表示されます。会社によっていろいろな企画や設計の特徴がありますから、もともとの事業の主体を明らかにして消費者の判断の目安にするためのものです。 
不動産の所在地
登記地番と住居表示
 不動産の所在地の表わし方には、登記地番と住居表示があります。地番は1筆の土地ごとにつけられています。広告や売買契約書に記載されるのは登記地番です。不動産の所有者が誰かあるいは抵当権があるかどうかなどは登記を見なければ分からないからです。
 たとえば、次の@は登記地番でAは住居表示番号です。
  @愛知連名古屋市中区栄1丁目1302番
  A愛知県名古屋市中区栄1丁目13番4号 
団地の所在地
 大きな団地の場合は、たくさんの区画がありますから、その団地の中心地とか入口などの区画の地番だけを代表地番として表示されます。団地が2以上の市町村にまたがっている場合は、区画によって通学できる学校が異なったりしますので自分の希望する区画はどの自治体に属するのかをよく確認しましょう。
交通の利便
徒歩時間
 道路距離80mを1分として計算し、1分未満の端数は切り上げて表示されます(たとえば810m÷80=10.125分→11分)。また、信号待ちや坂道などは考慮されていません。
 大きな団地の場合、駅やス−パ−マ−ケットまでの徒歩時間は、販売する部分の最も近いところを起点として表示されます。
電車、バスの所要時間
 運行ダイヤによる時間が表示されますが、待ち時間や乗換え時間は表示されません。 ラッシュ時には日中時より時間が多くかかる路線がありますが、この場合は「〇〇駅まで快速で40分(ラッシュ時。日中時は30分)」などと表示されます。
 また、バス便の場合は、「〇〇駅よりバス〇分、徒歩〇分」と表示されます(鉄道未整備地域ではバス停名とそこからの徒歩時間だけが表示されます)。
 鉄道会社が公表した新設予定駅は、その整備予定時期(その時期が変更されることがある場合はその旨)を明らかにして表示されますが、新駅からの電車の予想所要時間は表示できません。 
面 積
土地の面積
 土地の面積は、水平投影面積で表示されます。水平投影面積とは、凸凹や斜面の土地でもその土地が水平だとして測った面積をいいます。
 分譲地や建売住宅の場合は、「敷地面積/142u〜210u」などと最小面積と最大面積だけで表示されます。
 土地面積に私道部分の面積を含むときは、「土地面積/142u(私道12u含む)〜210u(私道18u含む)」などと表示されます。1u当たりの価格を比べるときは私道部分を除いた面積で計算して下さい。 
建物の面積
 建物の面積は、延べ面積で表示されます。延べ面積とは各階の床面積の合計面積で、2階建ての場合は1階、2階の合計面積です。
 床面積とは、建物の壁などの区画の中心線で囲まれた部分の面積をいいます。つまり、壁の厚さの半分は面積に含まれます。
 また、バルコニ−、ベランダなどの面積は含まれません。
 1戸建住宅の場合は床面積がそのまま登記されますが、マンションの場合は専有部分の壁の内側の部分の面積が登記されます。これは、壁は入居者全員の共有部分になるため一人の名義では登記できないからです。
 マンションでは専有部分と専用部分がありますが、専有部分とは自分だけのものになる部分で、専用部分とは自分だけのものではないが自分だけが使用できる部分のことで、ベランダや専用庭などがこれに当たります。 
間取り
 中古住宅の仲介広告などでは、建物面積の代わりに、建物の部屋数と各部屋の畳数を示すことが普通です。たとえば「和6、4.5、洋8、DK8」と表示された場合は、6畳と4畳半の和室と、8畳相当の洋間とダイニングキッチンがあることを意味します。
「2DK」とか「3LD・K」と表示されますが、「2DK」は居室が2部屋に一体型のダイニングキッチンがあることを、「3LD・K」は居室が3部屋に相互に独立したリビングダイニング゙とキッチンがあることを意味します。また、DKやLDKの広さの具体的な基準はありませんが、DKは4畳半以上(1DKの場合)、LDKは10畳前後(3LDK)の場合とされています。
 洋室の広さを畳数に換算する場合は、1畳は1.62u以上として計算します。畳の大きさには統一規格がなく、部屋の形と広さに合わせて作られます。 
地 目
 地目は、土地の用途(利用状況)を表わします。広告には登記されている地目が表示され現況がこれと異なるときは「地目/山林(現況宅地)」などと表示されます。登記上の地目を表示するのは造成地の以前の利用状況を知る手がかりとするためです。
 たとえば田や池沼だった土地を造成した場合は、地盤改良をした上で造成し数年そのまま放置して地盤の固まるのを待つ必要がありますし、田や畑であれば農地法の転用許可を受けているかどうかも調べる必要があります。 
青田売りと工事の概要
青田売りとは
 建売住宅や分譲マンションは工事の完了前に販売されるものが多いのですが、これを青田売りといいます。青田売りの場合には建築確認番号、工事の概要、工事の完了予定年月などが表示されます。 
 業者が売主の場合、代金の5%(完成済の場合は10%)か1000万円を超える手付金等を-受領するときは、手付金等の保全措置をして保証会社や銀行など、建設省(国土交通省)が指定した保証機関が発行する保証書等を交付することになつていますから、必ず受け取って下さい。 
工事の概要
 青田売りの場合、どのようなものが造られるかが表示されます。
 建売住宅の場合は、排水施設、街路灯の設置状況、上下水道施設、汚物の処理方法、道路の幅と舗装の状況、ガス設備、厨房設備、風呂の設備などが表示されます。
 分譲マンションの場合は、ガス、厨房、風呂などの設備や建物の主要構造部の材質、内装、外装の材質や塗装の方法、集会室などの整備状況、エレベ−タ−の有無と基数などが表示されます。
 なお、建築材料の一部を強調するときは、「桧造り。和室の柱は桧を使用」などとその材料が使われている部分を明確にして表示されます。 
工事の完了
 建物本体の工事が完了し、電気、ガス、上下水道などが整備されており、すぐにその建物を使用できる状態をいいます。 
10 新築と築年数
 新築とは、建築後1年末満で、1度も使用されたことがないことをいいます。たとえ1年末満でも一旦入居されたものは新築とはいいません。築年数は人の年齢と同じように完成した日がきて、1年、2年と数えます。 
11 団地の規模とその施設
開発面積、総区画数、販売区画数
 団地全体の大きさはどの位か、どのような施設が団地内につくられるかは、とても重要なポイントになります。開発面積や総戸数・総区画数などで大きさを知ることができます
 開発面積は、開発する団地全体の総面積をいい、道路、学校、公園、病院などの用地も含まれます。
 総区画数は、団地内のすべての区画数をいい、過去に販売済みの区画、現在広告して販売中の区画(販売区画数)、将来販売する区画の全部を表示します。大きな団地の場合は多少変更となることがあります。広告には、分譲宅地の場合、総区画数と販売区画数が表示されます。
 建売住宅の場合は分譲宅地と同じ要領で、総戸数と販売戸数が表示されます。
 団地型の分譲マンションの場合には、広告時に実際に販売しようとする建物ごとに、たとえば、「A棟=総戸数75戸・販売戸数74戸、B棟=総戸数70戸・販売戸数70戸」と表示されます。管理人室や集会室なども総戸数に含まれます。マンション内に店舗や事務所がある場合は、そのことも表示されます。 
団地内の公共・公益施設
 団地全体を一つの商品とみることができますが、この場合、学校、図書館、診療所などの公共・公益施設の有無やその内容は、商品の品質内容を表わすものといえます。
 団地内の施設が未完成のときは、その完成予定時期が明示されますが、大きな団地の場合は、当初予想できなかった事情によって、多少遅れたり、内容が少し変わることもあります。 
12 環 境
団地外の公共・公益施設
 団地の外にある学校、病院、市役所、公会堂などの公共・公益施設は、広告する時に利用できるものを道路距離を明らかにして表示されます。ただ、広告時には利用できなくとも、工事中であったり、国や県などの公共団体が建設を決定しているものは、その完成予定時期を明らかにして表示してもよいことになっています。
 学校は、近いかどうかに関係なく、地元の教育委員会で通学区域を定めるものですから広告では、通学できる学校が表示されます。 
団地外の商業施設
 デパ−ト、ス−パ−マ−ケット、商店等の商業施設については、原則として現に利用できるものしか表示できないことになっています。ただし、工事中であるなどその施設が将来確実に利用できると認められるものに限って利用予定時期を明らかにして表示することができることにしています。 
環境のマイナス要素
 当然のことですが、住まいのために良い環境と悪い環境とがあります。たとえば、買ったマンションの隣に大きな建物がたち、日当たりや風通しが悪くなることがありますし、近くに鉄道や高速道路が建設され騒音に悩まされることもあるでしょう。このように、住まいにとって好ましくないものが将来出現することが客観的にはっきりしているときは、パンフレットに必ず表示(デメリット表示)することになっていますから、よく読んで下さい。
 特に、市街地型のマンションは、工場跡地に建設されることがあり、周囲には騒音や煤煙などの発生する工場が残っていることがありますから、よく現地を見ることが大切です。
パンフレットのほかにできるだけ詳しい地図を用意しておくことも必要です。
 現地にはできるだけ平日に行くことをおすすめします。日曜、祝日などには工場は休みなのが普通ですから、平日でなければ本当の環境がわからないでしょう。 
環境の良し悪しは一概にはいえない
 普通、幼稚園、学校、公園などは良い環境の部類に入りますが、すぐ近くにあると子供の声がうるさいと思う人もいるでしょう。公園の場合でも夜、暴走族の集合場所になったりして悪い環境になるかも知れません。
 反対に墓地が近くにあっても緑がたくさんあって好まれる人もいるでしょう。
 環境の良し悪しの判断は人によって違いがあるものです。良く検討して物件を選びたいものです。
13 写真・完成予想図
 原則として物件の写真は、広告するときに実際に販売するものでなければ掲載してはならないことになっています。ただし建物と規模、形質及び外観が同一の他の建物に限り可としています。この場合、その旨を写真の接する位置に明示することになっています。
内部写真についても、他の物件の写真をその旨を明らかにして使用できることになっています。モデルル−ムの写真も同様です。
 完成予想図は、事実と違う表示でなければ建物本体のみを描けばよく、周囲の建物などまでは描かなくてもよいことになっています。完成予想図は、実際のものよりも良く見えるのが普通ですから、絵にまどわされず、現地の周囲の状況をしっかり確認しておきましょう。 
14 価 格
価格の表示の仕方
 宅地の価格は、総額を表示(但し、1区画の場合は、u単価で表示が可)し、マンションや一戸建住宅の価格は敷地の価格を含んだ1戸当たりの総額で表わされます。ただ、水道施設やガス施設を造る費用を別にとる場合は、その金額も明記することになっています。
 また、住宅の敷地が借地のときは、その借地権の種類(普通借地権、定期借地権など)、借地権の価格、地代(1カ月単位)、保証金、権利金等の額とその法的性格、借地権の存続期間などの条件も明示されます。
 分譲地、建売住宅、分譲マンションの場合は、区画(戸)数が多いので新聞広告などでは、全部のものの価格を表示することが難かしいときがあります。この場合は、一番安い価格と一番高い価格のほかに、100万円単位(高額な物件の場合は、任意に単位を設定できることになっています。)でみて一番多い価格のものをその価格帯と区画(戸)数が表示されます
 たとえば、「価格/2,650万円(2戸)〜3,390万円(1戸)最多価格帯/2,900万円台(50戸)」と表示されます。
 消費税の課税対象物件の場合は、「価格/3,060万円(消費税込み)」等と消費税を含んだ総額を表示し、消費税込みである旨を明示することになっています。価格に含まれる消費税額は契約締結時までに書面により明示されます。 
二重価格表示
 「相場の20%引き」などの表示を二重価格表示といいますが、これは原則として禁止されています。その理由は、不動産は同じものが二つとなく他のものと比較できないからです。
 しかし、次の二つの場合は不当性がないので例外として二重価格表示が認められています。
@  旧価格(値下げの3か月以上前に公表され、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売していた価格であることが明らかなもの。)を比較対象価格とする場合で、次のアからウに掲げる要件のすべてに適合するとき
ア 旧価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
イ 値下げの時期から6か月いないに表示するものであること。
ウ 建築後2年以内の建物で、居住したことがない建物についての表示で
  あること。
A 代金の金額を自己資金で支払うとか、新婚3か月以内の者など、一定の条件に適合する買主に対し、販売価格、賃料等から一定率又は一定額の割引をする場合において、当該条件を明示して、割引率、割引額又は割引後の額を表示するとき
15 予告広告
予告広告とは、住宅の販売予定時期を消費者になるべく早く知らせるためのものです。 予告広告は、分譲宅地、建売住宅、分譲マンション、未使用賃貸共同住宅(マンション)にしか認められていません。広告をしてから販売するまでの期間が、販売広告よりも長くなっていますから、この間にゆっくりと検討することができます。
 業者は、価格が確定したときに再び広告をしますが、2度目の広告を見逃すこともありますので、予告広告の時点で資料請求をしておくと便利です。価格が決ったら直接資料を送ってもらえます。予告広告には、次の四つの事項が必ず表示されます。
 @ 予告広告であること
 A 販売の予定時期
 B 価格が未定である旨
 C 「販売を開始するまでは、契約や予約の申込みに一切応じない」という文言 
16 用途地域、建ぺい率・容積率
 用途地域には、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域の12種類があります。
 建築基準法では、用途地域ごとに、建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、北側斜線制限、建築物の高さ制限などの規制をしています。
12種類の用途地域のうち、工業専用地域にだけは、住宅は建てられません。
 建ぺい率とは、建築面積(建坪のこと)の敷地面積に対する割合をいい、用途地域と建築する建物の種類などによってその最高限が定められています。たとえば、敷地が120u、建ぺい率が40%のとき、建築面積は、48u(120u×40%=48u)以下にしなければなりません。
 容積率とは、延べ床面積の敷地面積に対する割合をいいます。 
17 利用の制限や欠陥のある物件
 都市計画法、建築基準法その他の法令による重大な利用の制限や物理的な物件の欠陥(瑕疵)があるものや、消費者にとって著しく不利益となる事項について、明確に表示するよう義務付けています。このような物件は、欠陥のない普通の物件に比べ、利用価値や資産価値はかなり低いものです。悪質な業者は瑕疵があることを隠して「おとり広告」にしばしば利用しています。
 ですから、一見して安い物件はなんらかの欠陥があるのではないかと疑ってみる必要があります。案内された物件が瑕疵物件だったら、他の物件をすすめられても見ないで帰った方がよいでしょう。そんな業者は信用できません。 
市街化調整区域の土地
 市街化調整区域内では、原則として造成工事をしたり、住宅を建築することはできないという厳しい制限があります。一定の要件に適合すれば都市計画法に基づき認められる場合がありますが、これは例外的なものです。
 このため、広告には、市街化調整区域の土地については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません」と16ポイント以上の文字で表示することとしています。 
山林、原野などの現況有姿分譲地
 山林や原野などを造成工事をしないで販売することを現況有姿分譲といい、市街化調整区域の土地分譲はこれになりますが、市街化区域や都市計画区域以外にも現況有姿分譲地はあります。
 現況有姿分譲地には、電気、ガス、水道などの生活施設は一切ありませんから仮りに住宅を建てたとしても生活することはできないのです。 
道路づけの悪い物件
 建築基準法では、原則として幅員4m以上の道路に、敷地の間口が2m以上接していなければならないものと定めています。この規定に適合していない場合は、建物を建てるときに必要とされる建築確認を受けられません。
 このような物件については「再建築不可」、「建築不可」と表示することにしています。 
セットバックを要する物件
 敷地は幅員4m以上の道路に接していなければならないのが原則ですが、例外として幅員4m未満の道であってもよい場合があります。このような道路は、建築基準法42条2項に規定されていることから、「2項道路」とか「みなし道路」といわれています。「2項道路に接している場合は、原則として道路の中心線から2m後退した線が道路と敷地の境界線とみなされます。後退(セットバック)する部分は、道路として取り扱われますから、建て替えなどの際にはその部分は、建ぺい率や容積率の基礎数値から除外されます。
 セットバックを要する場合はその旨を表示し、セットバック部分の面積が概ね10%以上である場合は、その面積まで表示することにしています。  
傾斜地を含む物件
 概ね30%以上の傾斜地を含む土地については、その旨とその面積を表示することにしています(分譲マンションおよび別荘地等を除く)。ただし、30%未満の場合であってもその用途に照らして土地の有効利用が著しく阻害されている場合には、その旨とその面積を表示することとしています。 
その他
 朽廃した建物が存在する土地は、「売地。ただし、廃屋あり」等と、沼沢地や湿原、泥炭地等、高圧線下にある土地、土地の利用が著しく阻害される不整形画地、計画道路にかかっている土地等については、その旨を表示することにしています。 
18 建築条件付の土地
 土地を販売するに当たり、一定期間内に建物を建築することを条件とするものを「建築条件付土地」といいます。土地のみの販売はされません。なかには建物のプラン例(間取図)を大きく掲載するなどして、新築の建売住宅の広告のように見えるものもありますので注意して下さい。契約は、土地については売買契約、建物については、建築請負契約の2つになります。
 一般的には、次のように表示されます。  
 この土地は、売買契約後3か月以内に当社と住宅の建築請負契約を続結していただくことを停止条件として販売します。
 この期間内に建築請負契約が成立しなかった場合は契約は白紙となり受領済の金銭は全額返還いたします。 
19 土地の利用を制限する法律
 土地は、所有者でも全く自由に使ってよいものではなく、民法では「法令の制限内に於いて自由」に使うことができるとされています。
そして、種々の法律によって、土地の利用が制限されています。その目的は、都市の健全な発達と整備を図ったり、自然環境を守ったり、あるいは、有効な土地利用を図り、人間が安全にそして快適に住めるようにすることにあります。
 土地の利用を制限する法律の主なものは次のとおりです。
 @都市計画法、A建築基準法、B宅地造成等規制法、C急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、D農地法、E自然公園法、F土地区画整理法、G森林法、H砂防法、I土地収用法、など。
 このような法律によって宅地の造成や住宅の建築が禁止されているのに、その旨を広告に表示しないときは不当表示として規制されますが、宅地建物取引業法は、不動産会社にこれらの制限の内容を「重要事項説明書」で契約する前に購入者へ説明することを義務づけています。ですから、必ず重要事項説明書による説明を受けてから買うか買わないかを決めて下さい。 
 
IV 契約の重さ
 今日の社会は、人はそれぞれ相互に個人の利益を尊重し合うことによって成り立っています。もしこの利益が侵害された場合は、国家が法による強権を発動してその侵害行為を排除することができるという社会的な約束があり、大ざっぱに言えばこの約束が法だと言うことができますし、法律の力で守られている利益を権利ということができるでしょう。
権利と義務は契約から
 私たちは、経済活動や消費生活を営む上で様々な権利をもち、義務を負っています。この権利と義務は各人の自由な意思に基づく契約によって発生します。契約に際して詐欺や強迫などによって自由な意思が妨げられた場合には契約を取消すことができますが、そのような事情がない限り契約は守らなければなりません。
 ときどき、不動産を買ってはみたものの突然気が変わったのでやめたい、違約金も払いたくないと言う人がいますが、これは通りません。ですから、数千万円から数億円もの大金が動く不動産の取引では、慎重に契約内容とその契約を守れるかどうかを慎重に検討しなければなりません。軽々しく契約することは生活の破綻に直結します。 
知ったかぶりや無用の遠慮は事故のもと
 契約内容をよく検討するといっても、普通の人は法律用語にうといせいもあって、意味が分からないのについ知ったかぶりをしたり、あまり細かいことを聞くのは相手に悪いような気がしたりしてついつい遠慮しがちです。
 しかしこれは無用どころか有害な遠慮です。分からないところは納得できるまで説明を求める必要があります。もし説明をおっくうがったり、曖昧な説明をするような業者だとしたら、取引をやめるのが賢明です。最近、偽って建築許可を受けて建築された市街化調整区域内の建売住宅を買ったところ、市から取り壊すように指示された例があります。このケースでは購入者は業者から「当分建築確認を必要とする増改築はできないが、何も心配することはありません。とにかく大丈夫です。」という説明を受けていました。
 一旦契約するとよほどの事情がない限りこれを守らない訳にはいかないのですから、十分納得できるまでは絶対にハンコをおしたり、署名したり、手付金を支払ってはいけません。
 また、相手がいろいろ法律用語を使って、「あなたにはこんな義務がある」などといっても常識的に考えておかしいと感じたら、相手のいいなりにならず、すぐに弁覆士などの専門家や公的な相談所へ相談に行くことです。 
 
V トラブルがおきたら
万一トラブルが生じたときはどうすればよいでしょうか。いくつかの注意点を挙げてみましょう。
要求を明確にして話し合うこと
 あなたが不動産会社と交渉するときに、相手の担当者が必要以上に警戒心を持つようなやり方は得策ではありません。あなたが要求したいと思っていることを明確にしてから交渉するのが上手なやり方といえましょう。よく、手の内を見せると損だという考え方をする人がいますが、これは、いたずらに事態を紛糾させる結果となりがちです。 
無理難題は失敗のもと
 一つの交渉をするときに、最初からこちらの要求をはっきりさせると不利だと思うあまり、過大な要求をすることがありますが得策ではありません。
 こんなケースがありました。専用庭付のマンションを買い、いざ引渡を受けてみると庭にマンホールが三つもあったので、いろいろやりとりしているうちにお互いに感情的になり「マンホールを撤去するか、代わりの物件を寄こせ」というところまでこじれてしまいました。買主から事情をよく開いてみると、このマンションがとても気に入っている。ただ、美観もそこなわれるし、小さな子供がころんでケガでもすると困るので、それさえなんとかなればかまわない」とのこと。結局、売主がマンホールが隠れるような人工芝を3枚提供することで解決しました。 
契約書に明記してないことは「ないこと」と思え
 よく、口頭で約束したことを守らないということで、もめごとがおきることがあります。
 しかし、口約束はまず立証することができません。ですから、特別な約束はその場で文書にしてもらうことです。売主に本当にその気があればちゅうちょなく文書で約束してくれるはずです。もし、文書化をしぶるようでしたら、あてにできないということですし、そんな業者とは契約しないことが大切です。
相談所を活用する
 当事者間で解決できないときは、ためらわずに相手の不動産会社の加盟している団体へ相談することです。また、その会社がどの団体にも入っていないときは、免許を与えた都道府県や国土交通省へ相談して下さい。一人で思い悩んでいる必要はありません。 
 

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